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1995年我孫子マンション着工前

1997年に竣工した我孫子マンションが12年目を迎えた。
どういう巡り合わせか、私のところに大規模修繕工事のコンサル依頼があった。
かつての事業主社長の紹介だった。

自社で大規模修繕を受けるのは初めて。
過去に2度ほど経験はあるが、他社が設計した物件には興味がわかない。
そもそも建物の躯体まで判定できない。

この建物は私が独立して最初の分譲マンションだ。それもバブル期に数多く手がけ、設計まで終了したのに着工前に全てはじけ飛んだ斜面地マンションの集大成だった。

これのコンサルを自分がやらずして誰がやる。と思って引き受けた。
ほぼ採算度外視。
コンサルという立場も初めてだったので報酬もいくらにしてよいか分からず、後で改修工事に詳しい知人に数字を言ったら呆れられた。

建築は年を経て良くならねばならない。年輪が刻みついてこそ、本物と思っている。
自分で開発から監理まで全てやった物件は愛しい。
その骨(構造)から血(設備)肉(躯体仕上)に至るまで知り尽くしている。
勿論、生まれた経緯も、長い工事中の尽きぬ思い出もみんな、みんな全て含めてこの建物は建っている。

そこで滅多にやらない事だけれどここに着工前の現地調査写真を掲載します。
1995年10月。竹林に眠る40度の傾斜地。
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南側の道路から見た敷地。鬱蒼としている。
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お隣のマノービューから見た敷地。竹は高さ10m以上ある。
勿論中は歩ける角度ではない。
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南側道路を上の写真と反対側(西から)見ている。
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西側階段道路を見ている。
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同じく西側階段をもっと北側から見ている。

上野のレトロな床屋さん

最近良く行く床屋さん。
思いっきり昭和でレトロな雰囲気。
それだけでも一度は入る価値がある。
ご近所なので気分転換も兼ねて上野の山をおっちらこと降りていく。
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その名は齋藤理容館。上野郵便局並びにある。
建物年齢は軽く50歳超、木造2階建て。
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店の中はこんな感じ。
半世紀以上前に制作されたイスが皮艶も良く現役で並ぶ。

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でもこれだけなら、何度も通わない。
この店の最大の売りはご主人の技術にある。
髪が薄くなった我ら中年。
一番気になるのは髪が乱れた時の格好悪さだ。
惨めな濡れた犬のような髪にだけはなりたくない。
若い時のように乱れても若さの香りがかえって引き立つような
あの雰囲気を出来れば醸したい!

さすがにワイルドさは無理にしても、
風を孕むとふわりとマッシュルーム型に自然にふくれ、
悩み頭をかきむしったあとでも、ライオンのような雄雄しさが甦る。
そんな中年のオヤジ頭を演出するカットがさりげなくなされている。

昭和の椅子は固く、高く、岩山の上にいるようだ。
ここでリラックスするには馴れが必要。
でもゆるゆると過ぎていく上野の山の午後の時間を共有出来るようになると
不思議に、椅子の上の体が柔らかくなっていく。

上野に棲むおじさん達のために。

コーポラティブセミナー

久々にコーポラティブ関連のセミナーに行ってきた。
場所は神田にあるとしまち研。
40名近く集まり盛況。

何故ここで足踏みしているのだろう、それすらも良く分からなくなっている。
どれ位の長い月日があれから経っているのか、あの時に何をして
何を目指していたのか、良く思い出せないでいた。
それが理事長の杉山さんの人懐っこい笑顔を見たら、氷が徐々に解けていくように思い出し始めた。

あの夏の暑い日々。汗で濡れたシャツを着たまま歩き廻り多くのことをした事。
とにかくきっかけが欲しくて、しゃにむに進もうとした事。
でもその時は誰も答えてくれなかった。
投げかけた1千の言葉に一言の答えも帰ってこなかった。

具体的に手を挙げてくれた人もいなかった。
元々それが出来る人は東京でもごく僅か。
その貴重な人々は当時事業に疲弊し、時代に逆行され、
私のことを見るどころではなかった。
ならば自分で、と無謀にも始めようとしたが・・・。

そこまで思い出した。
時間は止まったままだ。
余りにも格好悪い、やりかけて放り出すなんて。

セミナーを聞きながら、杉山さんが具体的に言おうとしない数字まで自分で煮詰めていた事、
多くの本を読み、みなの意見を聞きながら、
事業収支プログラムを何度も作り直した事を思い出していた。

あの時の土地は未だ眠ったままだ。
あの時の意志は浅い土の下で惰眠をむさぼったまま。
自分で何かをやろうとする事は恐ろしく格好悪い事だ。

勇敢で、素晴らしいなどと言う人は、本当に地にまみれたことの無い人かもしれない。
宣言し、失敗を繰り返す度に、心は打ちのめされていく。
いやいや、そんな事はもうどうでもええ。

力んでもダメ。力抜いて両手を下げて、頭だけ上げておこう。
新しい形、新しい集合住宅の供給方式、
今まで作り上げてきた日の目を見なかった多くのアイデア達。
過去を見ながら売れるものを作ろうとするディベロッパー達にことごとく潰されたプラン。
これらは、私のスケッチブックの中で死に絶える為に生み出したのではないはず。

力まずに立ってみよう。もう一度。

コンペだ

この世知辛いご時世にコンペだ。設計競技だ。
だから走る、走る。日々の雑音を忘れ没頭しようにも
忘れようとすればするほど向こうからまとわりついてくる。
じゃれるな、雑念共よ。

頭に血が昇り、誰もかけていないのに独りプレッシャーにあえぐ。
いつものボリュームチェックならせいぜい2日で出来るのに
もう1ヶ月たったのに、法規の全てを置いてきぼりにした事に
気付く。あれ、公共建築物って超法規じゃないのかい?
駐車場法も緑化も指導要綱もいらないのでは??

コンペの要綱=指導要綱では?と勝手に思っていたのが大間違い。
あえぐ、普通の建築と同じじゃん。

かくして普通に戻って普通に設計やり直し。
でもこの1ヶ月で鉛筆が走るようになった。うれしい。
ざらっとした独特な触感、太くざらついた線が感覚を乗せて
滑る。早く遠くまで勝手に走る。
だから何気なく描き始めたスケッチも気付いたらA3の紙一杯に広がり驚く。
それでも紙の端っこでびったし収まっている。何故?

かくして今日も戦いは続く。体をリラックスさせて、内面に集中する。雑念だらけのこの体を先ず浄化しなければ、回答は無い。

そういえば久々にキラキラ輝く金属の球体が降りてくるビジョンを見た。ものすごく美しかった。
ああ、心が大分解き放たれている。そう感じた。

建築費は下がるか?

今まで高騰を続けてきた建築費。
主に鉄鋼製品の値上がりが原因だが、それに加えて
コンクリートも上がってきた。
しか~し、主なる原因は中国インドの急激な需要による、とも
言われている。
その中国だが、オリンピックが終了した。
この1年の鉄鋼値上がり曲線は中国のオリンピックスケジュールにぴたり呼応してきた。
ならば、下がるべ。
東京製鐵が10%の値下がりを発表して1週間。
建築工事全体に波及するのは10月以降、ただし他のメーカーが追随すれば、の話。
残りの90%のメーカーの動きに関わる。

いずれにしろ、明るい話題だ。
昨日今日と連続して不動産業の倒産がニュースとなる。
一部上場の会社もだ。

東京近郊の急速な土地の値下がり、「正しい」値下がりならともかく、不良債権になってしまえば、一般には手が出ない。
これに工事費の「正しい」値下がりが続けばこの不動産限定バブル崩壊からのショック症状は消える。

コンクリート建築がやりたい。あのほかほかの柔らかい可塑材よ。
待っててくれ。

Googleストリートビュー

今まで随分お世話になってますが
グーグル君がまたやってくれました。その名もストリートビュー。

これで現地調査から開放される??と言うくらいに優れもの。
でもいいのか?こんなに出して。
試しに千葉の我が家を検索すると、マンション周囲360度パノラマ、それもかなりの鮮明画像で。
駐車場の車も全部ばっちし。
道を進み、後退しさらなるアングルで見る。

こんな事が可能になっていいのだろうか?
住所だけで、現地の最近の周辺映像が見えてしまう。

一度も遊びに行った事の無いあいつの家がどうなってるのか
周辺の状況も含めて全部分かる。勿論載ってない場所は検索しようがない。
いいのか?いいのか?
一億総パパラッチだぞ、これは・・・。