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CADって何?

「CAD」は言うまでもないが、設計ツールである。

三次元のBIMと並ぶ建築設計の為の道具である。
CADの方は2次元なので機械設計土木設計でも使われる。

以前はCADの依頼と言えば下請けの「CADオペレーター」のことだった。
即ち建築設計者が設計した手描きの原案を忠実に電子データ化していく現代版トレーサーのことだった。
それも設計者が自分でCADを操るようになると需要も消えていった。
10年以上も前の話だろうか。

これはツールであって間違っても建築設計そのものだと勘違いしてはならない。
大工さんに依頼するとき「金槌お願いします」と言う人はいない。

実際の建築設計の順位としては
最初に企画設計がある。
不動産業界ではボリュームチェックと呼ばれる。
これは最も難易度が高く、責任重大であり、決して実務経験のないペーパーアーキテクトに任せてはならない。
首をかしげるような実行不能な代物が出てくる。

その後に基本設計、実施設計、監理業務と続く。
繰り返すが企画設計の段階こそ最重要かつ最難関かつ最も面白い分野なのだ。
真っ白なキャンバスに絵を描く前の緊張と高ぶり。
間違っても建築家に容積はどれ位取れるのかなどと、野暮な質問をしてはならない。
建築家はそんなことに関心はない。
どんな建築が可能か、何が出来るのか、このキャンバスに描きうるイメージ、必要条件と建築足りうる充分条件とは何か?

日々我々は追い求める。
それが現実と完全に符合した時に思いが形になって現れる。
企画設計の醍醐味である。

そして今日も果てしないアプローチは続く。

役所との折衝

役所ごとに集合住宅等の指導要綱がある、この際条例化されたものは除く。
この指導要綱だが、丸呑みしてはいけない、勿論設計事務所だから遵守するのは当然だが、何せおかしな要綱も多々ある。
修業時代に叩き込まれたことがある、それは要綱の少ない文章に惑わされないこと、主旨を踏まえて役所が望むことの真の意図を察することが大事だと。
ある事例でマンションの住戸面積の割合を55平方米を8割、残り2割を75平方メートル以上にしなさいという要綱があった。
この時代錯誤の面積設定から読み取れるのは、兎に角平均で60平方メートル以上のファミリータイプがほしいと言うこと。
それ以上の要件を揃えて伺いを立てると望む返事が得られた。

ところが役所との折衝の経験が浅いとこうはいかない。
そのままストレートに聞いてしまい、役所側もストレートにシンプルに指導要綱の文面を繰り返すのみ、意図が伝わっていない。

出来るだけ具体的に図面を示し、何がやりたいかを伝えていないと相手も一般論できたからこちらも一般論で答えたと言うことになる。
役所の指導要綱は生き物のように時代ごとに内容を変えていく。
絶対普遍の憲法とは訳が違う。
少しでも住宅が欲しければワンルーム規制を緩め、良質にこだわれば住戸面積の平均値を上げてくる、さらに活性化がほしくなれば商店を義務づける。

面積の設定も役所ごとに様々、ただ現実離れしてはいけない。

賃貸のワンルームで駐車場を3割設けなさいと書いてあるから絶対条件だと勘違いする人もいる。
指導要綱に書いてあるからと役所に個別に相談もせずに丸呑みする人もいる。
大事なことは相手の主旨を見分けること、反対するのでなくそこに至った経緯を想像し現在では何が合わなくなっているのか伝えてあげること、である。

役所は民間の会社とは全く雰囲気が異なる、生涯を一つの職場と決めた者との違い。
よく言えば大家族的、悪く言えば皆同じ。
一人だけ周囲と異なった意見を言うなんてことはあり得ない。
だから相談するときは相手の立場を壊さないようにしなければならない。
そうしながらじわじわと詰めていく、これが設計事務所の生きる道。

建物の重量

建物の重量を良く聞かれる。
下に地下鉄が通っていたり、トンネルがある場合だ。
耐荷重制限がかかる。
これはケースによって全く異なる。
中には鉄骨5階までOKという言葉を鵜呑みにして、
べた基礎で転倒しそうな計画を作る輩もいるのでご注意。

当社はRC造、S造の標準スパンモデル建築を作成し
その重量を求めました。
お気軽にお問い合わせ下さい。
ただし過去にお客様登録していることが条件です。

さらに4月から国土交通省による新告示、耐震設計、耐震診断の
標準報酬額算定表を作成しています。
こちらもお気軽にどうぞ。

傾斜地入門2 「地階」における住宅容積緩和

さて前回で「地階」の定義された。
次はそれに基づく地階における住宅の容積緩和である。
これには2つの法条文がある。

1)建築基準法第52条第3項(抜粋)

建築物の地階でその天井が「地盤面」からの高さ一メートル以下にあるものの住宅の用途に供する部分の床面積は、1/3を限度に算入しないものとする。

2)建築基準法第52条第4項(抜粋)
前項の「地盤面」とは、建築物が周囲の地面と接する位置の平均の高さにおける水平面をいい、その接する位置の高低差が三メートルを超える場合においては、その高低差三メートル以内ごとの平均の高さにおける水平面をいう。

2)が曲者である。
前回「地階」の定義で使用した地盤面はここでは使えない。
全く別物の地盤面 がここでは定義される。
また3m毎の地盤面が発生すると、一つの階でも複数の地盤面が発生する。
それらの内、「一番低い地盤面」から「平均天井高さ」までの距離が1m以下の場合のみ容積緩和される。

2)は基準法上の「建築面積」及び「高さ」を決める為の「地盤面」を規定した、施行令第1条第2項と全く同じ文面である。
これで大半の地方公共団体は大丈夫だが、
神奈川県等では建築基準法第52条第5項を適用し独自の解釈をしているので要注意。

また2)の地盤面は日影規制に使用する「平均地盤面」ではない。
これまたややこしい。
高低差が3m以内なら「平均地盤面」と「地盤面」は一致するが、
3m以上の高低差のある傾斜地では明確に異なる。

ファイル 93-1.gif

前回と同じこの例では、L1階のみが地階かつ上記1)と2)の条件を満たす。
L2階は前回の地下判定でOUTだったので条件を満たさない。
L3階は地階かつ領域3の地盤面からの高さが1m以内だが、
属する領域2の地盤面が最も低く、1mを超えている為OUTとなる。

傾斜地入門1 「地階」の定義

地階の定義は今のところ一つしかない。
従って、多くの地盤面の定義、高さ床面積の算定の基となる「地階」は一つしかないことになる。

施行令第1条第2号による下記の3つの条件を満たすことが現在主流の解釈である。

1)床が地盤面下にある階で
 1)に定義する地盤面がその階の周長の1/2以上床より高い位置にあること。

2)床面から地盤面までの高さが
地盤面とはその階における平均の地盤面。3mごとではなく、SLからSLまでの階高さ全体で見る。高さを判定する為の3mごとの地盤面とは別のもの。

3)その階の天井の高さの1/3以上のものをいう。
最も高い位置の床高さから最も高い天井高さまでの距離の1/3以上あること。
これは部分的ではなく階全体で地階かどうかを判定することになる。

1)から3)までを満たせば「地階」だが傾斜地では
下から順番に地階になるとは限らない。
これが多くの間違いを呼ぶ。
下の例ではL1とL3階が地階判定となるが、L2とL4は地上階である。
ファイル 92-1.gif

上記のような理由に加え
次の章で述べる、地下階=地下室(容積緩和)とならないので
当社では傾斜地における地階表記を行っていません。
単にL1、L2という表記にとどめます。

賃貸経営

最近、賃貸の事業収支は出せる?と聞かれた。
答えは、もうやってない。
かつてEXCELで作成した長大な事業収支表はもう出番はない。

アパート、マンションの新築とそれに関わる事業収支のこと。
何年後から事業フローが黒字になり、経営が成り立つか?

もうその計算は止めた。
新規に土地取得し新築し利益が出たのはバブル期だけ。
5年ごとに家賃を上げることが出来た右肩上がりの時代だけの話。
今は計算してもしても黒字にならない。
下記のサンプルはもう9年前、実際の個人地主向けに作成したもの。
設定を有利にしておいしい数字にしている。

ファイル 91-1.gif

ファイル 91-2.gif

事業者やハウスメーカーは利益率とか、利回りという言葉で逃げているけど。
実際の実利ではない。儲かるように見せているだけ。

その通りにしたら、建物の定期的な修繕費、特に10年に一度の防水工事を含めた重要な大規模修繕費が出てこない。
水廻りの設備は20年で刷新しなければ新規の客は取れない。

これが出来ずに苦しんでいる大家の友人を何人か見ている。

さよなら賃貸経営、特に今は工事費が高すぎるしね。

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